
“年収400万円”で組める住宅ローンの計算式
下の画像、ネットの広告画像をスクショしたものですが・・・さすがに”年収400万円”でこんな豪邸は無理やろと思いつつ思わずポチッてしまいそうになります。年収400万円でどのぐらい住宅ローンが組めるのか、検証してみたいと思います。

では”年収400万円”で一体どのぐらいの予算で住宅を購入できるのか試算してみましょうか。
一例としてフラット35Sを利用した場合の借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
“年収400万円”の人が”フラット35S”を利用した場合
2019年12月現在、フラット35S新団信付という金融商品が
・融資率 90%以内
・融資期間 21年以上35年以下
で当初10年間が0.96%、11年目以降が1.21%となっております。
この「融資率」というのは物件価格とその購入における諸費用(融資手数料・登録免許税・仲介手数料・火災保険料等)を合わせた総額のうち90%にこの金利を適用しますよ、という意味です。
※残り10%についてはもう少し高い金利で借りていただく事になります
融資期間というのは何年で返済するか、という年数です。
年配の方は20年とかで組まれる可能性もありますが、若い方はほとんどの場合が35年で組む事になるかと思います。
“年収400万円”で、いくらまで借りられるのか
住宅支援機構のHPによるとこのような記載があります。
「すべての借入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が次の基準を満たす方」
年収400万円未満→30%以下
年収400万円以上→35%以下
ここが絶妙に大事なポイントなんですが、年収400万円以上と以下では基準となるパーセントが変わります!
年収399万円の人と年収400万円の人では、その年収差たった1万円なのに、借入できる金額がその年収差の何倍もの差になって表れてしまうのです。
「1円を笑う者は1円に泣く」
という言い回しがありますが、このフラットの基準による1円ほど泣ける1円は他には無いのではないでしょうか。
なお、上記文言にはもう一つ気を付けなければいけないポイントがあります。
それは
「すべての借入れに関して・・・」
という部分です。
すべての借入れとは何?
この「すべての借入に関して」というのは【フラット35】による住宅ローンの他、【フラット35】以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含みます。)などをいいます。
というわけで、他の既存借入がある場合は、本来年収に対して住宅ローンを借り入れできるはずの金額が減る、という事が起こります。
この愛知県は車王国で車が無いと生きていけない、という方も多いので、車のローンというのは住宅ローンを組む上で障害となるケースが多いです。
あと、借金と思っていない人もおりますが、カードの分割払いやリボ払いなんかも借入として計算されます。
ディズニーの英語教材を月額で払ってます、とかいう人が何人かいらっしゃいましたが、本当に月額として払っているのか、カードの分割払いを利用した結果、月額で払っている(ような気がしているだけで実際は借金を背負っている)のかで、えらい違いになりますので、お気を付けください。
“年収400万円”での、具体的な計算を
では、具体的に計算してみましょう。
さきほどの30%とか35%という基準をどうやって判定するのか、という事がポイントです。
フラット35Sという商品は当初5年、もしくは10年の金利を引き下げます、という商品なので今月に借入した場合は当初金利が0.96%となっております。
ただし、これはあくまで引き下げが後のボーナスタイムという扱いなので、引き下げ前の金利1.21%で総返済負担率(返済比率)を計算します。
例えば3,500万円の借入をした場合
例えば3,500万円の借入をした場合、35年返済、金利1.21%で試算しますと
毎月の返済額 102,262円
年間の返済額 1,227,144円
となります。
この年間の返済額を年収で割る事により総返済負担率(返済比率)を算定します。
1,227,144円÷4,000,000円=30.67%
この30.67%という数値を先ほどの基準に照らし合わせてみます。
この場合、年収400万円という事は35%以下に収まっていればOKなので、
30.67%<35%で基準クリアという判定になります。
他方、年収399万円の場合はどうなるでしょう。
先ほどの3,500万円の借入をした場合、35年返済、金利1.21%で試算した年間の返済額 1,227,144円を年収で割ると
1,227,144円÷3,990,000円=30.75%
なんという事でしょう。
30.67%>30%で基準外という判定になってしまいます。
これはつまり、年収399万円の人は3,500万円の借入が不可という事になります。
年収400万円あれば・・・・無念( ゚Д゚)
では、3,400万円の借入をした場合
3,400万円の借入をした場合、35年返済、金利1.21%で試算しますと
毎月の返済額 99,340円
年間の返済額 1,192,080円
となりますので
1,192,080円÷3,990,000円=29.87%
これなら基準クリアですね。
とは言ってもですね、他の借入等を計算に入れないといけません。
「私は他に借金なんてありません」
という方でもですね、今どきは携帯電話の割賦払いが主流となっておりますので、こちらも計算に入れる必要があります。
なので、29.87%なんていう30%まで0.13%しか余力がない場合には、携帯電話の残金を一括払いしてもらう、等の対応が必要な場合もあります。(実際、お客様と一緒にドコモショップで携帯代金を完済しに行った事もあります)
少し話がそれましたが、これで年収399万円の限界値がだいたい見えましたね。
年収399万円の人の借入可能額はだいたい3,400万円です。
諸費用がざっくりと200~300万円かかりますので、物件価格としては3,100万円程度を目安にすると良いかと思います。
では、”年収400万円”の限界値は?
だいたいの結果から言いますと
借入可能額はざっくり3,950万円程度です。
諸費用を除外して物件価格を算出すると概ね3,600万円程度が物件価格の目安となります。
計算式は次の通りです。
3,950万円の借入をした場合、35年返済、金利1.21%で試算しますと
毎月の返済額 115,410円
年間の返済額 1,384,920円
1,384,920円÷4,000,000円=34.62%
35%以内にギリギリ収まっておりますので、この辺が限界値かと思われます。
以上の計算は全て自己資金を出さない(頭金0円)という前提で計算しております。
当然ですが、自己資金を出せば買える物件金額は増えますので予算を増やす事はできます。
自己資金を5,000万円ぐらい出せば年収400万円でもローンと合わせて上の画像のような家が買えます。
自己資金がなければ3,600万円ぐらいが買える物件価格の目安になります。
3,600万円であの画像の家が買えるなら私も是非欲しいのですが、世の中そんなに甘くはありません。
でも、自己資金があれば実際に買う事もできるので、嘘とも言い切れないです。
最後は予算がモノを言う
物件選びには色んな条件を整理していく必要がありますが、やはり最後は予算です。
予算をしっかり定めた上で、その中でより条件にあった物件を探し求めていただければと思います。
3,000~3,500万円の物件をご覧になりたい方はこちらをご参照ください。
タイミングによっては値下げしたり思わぬ金額で物件が販売されている事もあります。
また、タイミングによっては値引きのチャンスもありますので、この辺は交渉が上手そうな不動産屋にあらかじめ相談しておくのが吉です。
当社もよく「この物件がこのぐらいの金額になったら買いたいんだけど」というご相談をいただきます。
値下げ交渉は本当にタイミングが大事なので、ある程度前もってご相談いただいていると成功する確率もアップします。不動産屋を味方につける、という気持ちで是非ご来店いただけるとありがたいです。
それでは皆様に良い物件が見つかりますように。