
日当たり良好という功罪
南向きにつき 日当たり 良好
南向きにつき 日当たり 良好 って言うんですよ。
売買物件でも賃貸住宅でもセールスポイントとしてすぐに出てくるこのフレーズ。
でもね、最近こんな事がありまして。

日当たりが良すぎるのでオーニングを設置したい
もう4年程前にご購入いただいたお客様とお会いする機会がありまして、何かお困りの事はございませんか?と尋ねたところ、南面のバルコニーの 日当たり が良すぎるからオーニングを設置したいとの事。
この方のご自宅はいわゆる北向き(北側の道路に面している)なんですが、南側がちょうど月極駐車場になっていて日当たりが良いんです。購入する時はその駐車場に何か建つかもしれないですねって心配していたのに、今ではもう何か建ってもらっても良いぐらいだと仰ってます。
日当たりが良すぎるって・・・ダメなんですか?
もう本当にめっちゃ暑いから遮りたいらしく、開閉できるオーニングを設置する事になりました。日差しを調節できるようになったため、結果的には理想的な形となりましたが、当初は予定していなかった出費だとは仰っておりました。
住宅を販売しておりますと、日当たりの良さ、というのはほとんどのお客様が気にされるポイントではあります。そのため、広告等にも日当たり良好!というようにセールスポイントにします。
しかし販売している身からすると「そんなに大事だろうか?」というのが率直な感想です。「全居室南向き」なんて太陽からの逃げ場が無いと思うんですが、どの部屋にも陽が入って良い家だって一般的に思われているフシがある気がします。
夏場にクーラーの無い家でオープンハウスなんてやったらもうあなた・・・汗がもうすごいですよ。
どうも部屋の明るさと日当たりを混同してらっしゃると思うんです!
確かに部屋が暗いというのはあまり良い気分ではありませんので、ある程度の明るさは欲しいですよね。
かと言って、直射日光が欲しいわけではないと思うのです。
(部屋の明るさで重要なのは「向き」ではなく「開口部の大きさ」なんです!)
少なくとも私は直射日光が入ってくればカーテン等で光量を調整しますし、夏場なら下手したらシャッターごと閉めますよ。
前述のお客様も夏場はシャッター閉めるって仰ってました(笑)
逆に冬は暖かいと思いますので良いとは思いますが、日当たり良好ってフレーズは四季って物を無視しすぎですよね。(うちも日当たり良好って良く書きますけど)四季を考えると日当たりの良い部屋・良くない部屋それぞれ可愛く思えてくる。(笑)
東京や大阪よりは敷地にゆとりがありますので、そこまで激烈に日当たりの悪い新築一戸建てって珍しいと思いますよ。
少なくともメインバルコニーに全く陽が当たらないような新築戸建はほとんど無いのに、日当たりが悪いという理由(実際そこまで悪くはない)で選ばれず値段が下がる建売も多いです。
日当たり良好っていうのは不動産屋が高値で売るためのロジックであって、住む人全員が望む条件かというとそれは違う、と今では認識が変わっておりますので、この家をこの値段で買えるなんて最高だな、なんて思いながら物件資料を見ています。
このような、一般的な「良い家の条件」という物に左右されず、「自分が本当に望んでいる条件」をピックアップしていく事でご自身の理想の住宅という物が具現化され、意外と安く良い買い物ができるのではないでしょうか。